ヨナス「人体実験についての哲学的考察」

ハンス・ヨナス「人体実験についての哲学的考察」、加藤尚武・飯田亘之編(1988)『バイオエシックスの基礎』東海大学出版会、読む。

▼1,進歩は根拠薄弱であり、人体実験は異常な手段(非常事態)である。
 2,同意は最小限の必要条件である。
 3,許容度の下降的序列。人体実験は科学者が自己徴募で行うべき。次いで、強い動機、高い教育を受けた人。cf.ノブレス・オブリージュ


▼わかりやすく言うと、〔是非〕そもそも人体実験をやる必要性がないじゃん。だって、進歩は徳であっても義務ではないでしょ。〔条件〕やるとしても、同意が不可欠だよね。〔対象〕同意を取れるとしても、偉い人からやりなさい。一般人、まして病人は最後だよ。


▼意外なことに、スーパーエロゲーションに関する事が書いてあった。
もし彼がそうした〔=他者の為に自己を犠牲とする〕とすれば、それは賞賛に値することであるが、しかし、そうしなかったからといって、非難に値するわけではない。そうすることを彼に求めることはできない。もし彼がそうしなくても、彼は義務に違反しているわけではない(197)

現代の大哲学者の著作にもちょいちょいスーパーエロゲーションについて記述があるようだ。ロールズとか。ルーマンとか。どういうことだろう。英米では常識なのだろうか。しかし、そうするとブラックボックスとなっているのはなぜだろう。ひょっとすると、ちゃんとした著作や体系があるのだろうか。