ホープ『一冊でわかる医療倫理』

トニー・ホープ、赤林朗・児玉聡訳(2007)『一冊でわかる医療倫理』岩波書店



これはまぁだいぶ日本における生命倫理学の概説書とは趣が違う本だなぁ。学問は「対象」か「方法」か云々という話を以前したけども*1、この本はだいぶ「方法」について詳しい。これを読めば生命倫理学の方法論についてはだいぶわかってくるのではないか、と。例えば、一貫性を重視したり(ヘア的に言えば普遍化可能性になるのかな)、思考実験が重要な論拠となるといった話とかとか。
逆に、「対象」については物足りないし、偏りがある。著者がイギリス人ということで、もしかすると日本とは主要なトピックが違うのかもしれない。専門用語が少ないので取っつきやすいし、知的ゲームみたいなおもしろさは伝わる。

まーったくの初学者、一般に対する啓蒙書としては今のところベストの1冊。