倫理学

本が届く。 Mellema

本が届いた。Beyond the Call of Duty: Supererogation, Obligation, and Offence (Suny Series in Ethical Theory)作者: Gregory Mellema出版社/メーカー: State University of New York Press発売日: 1991/10/01メディア: ペーパーバック クリック: 1回こ…

尊厳の押し売り?

人間は単に個として孤立的に存在するのではなく社会的存在であることからすれば、やはり生命処分については内在的制限があると思われ、「殺害されることを請求する権利」や「自殺の権利」としての自己決定権を承認することはできない。 甲斐克典(2004)「刑…

読むべきリスト

やるべき事が済んだら倫理学を1からおさらいしよう。適当に今後アップデートしていくよ(^^)/ ▼大昔 プラトン アリストテレス 全部?特に『ニコマコス倫理学』 ▼昔 カント 全部。特に『実践理性批判』 ミル 『自由論』 『功利主義論』 ベンサム シジウィック …

尊厳派と自由派

自由派:身体を売ったり処分したりするのは自由だ。臓器売買や代理母なんて自由であるべきなんや尊厳派:身体には尊厳があります。だから自由にしちゃだめですよ自由派:私は身体に尊厳があるなんて思わんで。だから自由にしてええやろ尊厳派:いや、だから…

強者であるがための義務は存在する?

ノブレス・オブリージュってなものをどう考えればよいだろうか?▼1.あなたが医者であったとする。目の前に病に苦しむ人がいるとする。あなたはそれを治すことができるとしよう。さて、あなたにとって病人の治療は(道徳的)義務なのだろうか。義務ではない…

哲学論文の心得

某氏より哲学論文の心得を教わった。曰く、慎重に一から”自分の”議論を積み上げること 曰く、設定した領域に関してはあらゆる可能性や問題を検討し回答を示すこと 曰く、”自分で”考えること。他者の議論に乗っかるのはだめ。参照するにしてもそこんとこが大…

最近読んだもの

Arneson, R., 1991, “Lockean self-ownership: towards a demolition,” Political Studies 39 (1): 36-54Christman, J., 1991, “Self-ownership, equality, and the structure of property rights,” Political Theory,19 (1): 28-46 Curchin, K., 2007, “Deb…

倫理と法の関係

倫理と法の関係があまりに曖昧過ぎる。これについての研究がほとんどなされていない。私の不勉強かもしれないのでアレなんですが、それはおいといて。君は人を殺すべきでない。君には殺人を犯さないという法的義務がある。君は井戸に落ちようとしている子供…

他者危害原則

他者危害原則から倫理学の体系を構築できないだろうか。この世の中、他者危害原則をおいて他に異論の余地のない原則というものはないように思われる。功利主義ならまだしも、義務論や徳倫理なぞは現実的な有効性としては厳しいような気がする。危害を狭く解…

石原・河野編『科学技術倫理学の展開』

石原孝二・河野哲也編(2009)『科学技術倫理学の展開』玉川大学出版会 ごはんも食べたい、パスタも食べたい、味噌汁もいいな。そうだ全部混ぜればいいじゃん!→ ・・・何これ? みたいな本。ごちゃまぜ。この手の、複数の著者が各自論じるタイプの本って大…

村上喜良『基礎から学ぶ生命倫理学』

村上喜良(2008)『基礎から学ぶ生命倫理学』勁草書房扱っている対象自体は一般的な生命倫理学の教科書と同じで良いのではないかと。ただ、主張の根拠づけのところで首を傾げたくなることが多い印象。 例えば、中絶におけるトムソンの思考実験の話で、 トム…

ヘア「自愛の配慮、道徳性、および義務以上の功績」

ヘア『道徳的に考えること』11章 ヘアは、二層功利主義の立場から、スーパーエロゲーションの困難を解決できると主張している。やはり功利主義者にとってスーパーエロゲーションが欠点となりうるという認識は広く浸透しているのだろうか。 明晰でわかりやす…

小松・香川編『メタバイオエシックスの構築へ』

小松美彦・香川知晶編(2010)『メタバイオエシックスの構築へ』NTT出版 よくできた論文集だと思う。廣野さん、香川さん、田中(智)さんの章は個人的に特に印象に残った。機会があれば章ごとに詳しく検討してみたいところ。一読して疑問に思ったのは、果…

ホープ『一冊でわかる医療倫理』

トニー・ホープ、赤林朗・児玉聡訳(2007)『一冊でわかる医療倫理』岩波書店 これはまぁだいぶ日本における生命倫理学の概説書とは趣が違う本だなぁ。学問は「対象」か「方法」か云々という話を以前したけども*1、この本はだいぶ「方法」について詳しい。こ…

スーパーエロゲーション覚え書き

ときに、ある哲学者は「わたしがあることをすべきである」ことと、「わたしがそれをする責務がある」こととを区別する。(・・・)ある人が荒れ模様の夜に道端で立ち往生しており、わたしの車に同乗させてほしいと頼む場合、「わたしは同乗させるべきだが、…

今井道夫『生命倫理学入門』

今井道夫(2005)『生命倫理学入門(第2版)』産業図書 「生命倫理学をやる」と宣言していながら、あまりに無知なので生命倫理学の教科書的なものを読んでいくことにする。 これは生命倫理学の全くの初心者・初学者向きかな。基礎的な事項がサラーっと右から…

トゥーリー「嬰児は人格を持つか」

トゥーリー「嬰児は人格を持つか、加藤尚武・飯田亘之編(1988)『バイオエシックスの基礎』東海大学出版会、読む。元はTooley, M.,1972,"Abortion and infanticide," Philosophy & Public Affairs 2(1): 37-65. なお、翌年の同名の著書でだいぶ主張を変更し…

Mellema, "Supererogation and the fulfillment of duty"

Mellema, G. (1991). "Supererogation and the fulfillment of duty," The Journal of Value Inquiry, 25: 167-75 読了。 ▼スーパーエロゲーションとは、『(1)義務ではないが (2)賞賛に値し (3)行わなくても非難されない』 行為である。メレマさん…